(文庫版は、
上巻・
下巻)
宝島社の「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、
いままでの受賞作品の中でも一番人気に火がついたようです。
だから敬遠してました(笑)
でもシリーズが進むごとに、装丁が良くて気になって仕方なく、
ついに児玉清の帯にも目を瞑って購読してみることに。
(有名人を使ってデカデカと、
しかも顔写真まで使ってコピーを作るなんて、勘弁してほしいものだ)
まあ、なんといっても「このミス」ですから、他の方も指摘されているように、
ノリが奥田英朗の変人精神科医伊良部のシリーズと似ているのは、もとより承知。
ただ、こちらは一応現職医師が書いているという点が違うわけです。
となると、当然当事者ならではのリアルさを求めるのは読者の必至。
なーんですが、たとえば、同じ会社でも企画課と経理課では雰囲気もやり方も、
働いている人々もぜーんぜん違ってきますよね?
作者は元外科医とはいえ現在は病理医らしいので、
外科でも花形部門?の心臓外科の描写に関して言えば、
それ関係の読者からすると「いまさらバチスタかよ!」というのもあって、
厳しい批評もあるようです。
しかししかし、これはあくまで「このミス」なわけで、
そんなちょっとした現場との齟齬とかは、ご愛嬌じゃないでしょうか。
むしろ、作者が勤務医ということで、内科外科関係なく、
大学病院というところの構造はかなりリアルに描けているんじゃないかと。
手術の部分より、わたしはそういった象牙の塔的な、
内部事情に関するところを面白く読みました。
プロットだったり、ストーリーテリングの力量というのは、
正直まだまだなんじゃないかと思います。
文章や言葉の選択もセンスを磨く余地がありそうです。
児玉清に「シャッポをぬぐ」は通じても、「このミス」の読者層を考えると、
やっぱり古っと思わざるをえない部分もけっこうありました。
とはいえ、「このミス」という賞の性質を考えれば、
大賞に選ばれるだけのユーモアとかテンポは良かったと思います。
白鳥の饒舌で説明的なセリフとかは、ちょっとウンザリしますけれども、
田口や高階病院長なんかはいい味出してるキャラだと思いました。
白鳥のキャラは、ややウケ狙いすぎかな。
まあ、狙いすぎくらいでないと賞は取れないかもしれないです。
シリーズ1作目では、なんかいろんなところにペンを走らせすぎちゃって、
読んだらおしまいの娯楽小説になってしまった感じがしました。
あと、他の書評でも出ていることですが、
謎解きの部分に関していえば、医療に携わっていない素人の目はだませても、
これくらいでプロが欺けるとはとても思えない。
犯人も動機も最後はうっちゃっているのが気になりますので、
寒すぎる修辞の文章を省いて、丁寧に描いていれば、
10年後も評価される作品になったと思います。
シリーズはまだ続いているようなので、一応あとを追いかけようと思います。
by JK - 2009/05/06 23:20
| 海堂尊
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